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山形地方裁判所 昭和54年(わ)133号 判決

本店所在地

山形市本町一丁目七番三五号

株式会社五十嵐宗助商店

(右代表者代表取締役五十嵐康祐)

本籍

山形市本町一丁目一八一番地

住居

同市本町一丁目七番三五号

会社役員

五十嵐康祐

昭和五年二月一五日生

被告人両名に対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官田子忠雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社五十嵐宗助商店を罰金四〇〇万円に、被告人五十嵐康祐を懲役六月にそれぞれ処する。

被告人五十嵐康祐に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人五十嵐宗助商店(以下、被告人会社と略称する。)は、山形市本町一丁目七番三五号に本店を置き、板硝子、サッシ等の販売などを目的とする資本金二、八〇〇万円の株式会社、被告人五十嵐康祐(以下、被告人と略称する。)は、被告人会社の代表取締役として業務全般を統括掌理していたものであるが、被告人は、被告人会社の業務に関し法人税を免れようと企て、自ら従業員に指示するなどして売上の一部を除外し、あるいは売上繰延をし、または仕入先と通謀して架空仕入を計上するなどの方法により所得を秘匿したうえ、

第一、 昭和五一年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三、〇八五万七、五四八円(別紙修正貸借対照表(一)参照)でこれに対する法人税額は一、一〇三万円であるにもかかわらず、昭和五二年二月二八日山形市大手町一番三二号所在の所轄山形税務署において、同署長に対し、所得金額が六三八万一、〇一七円でこれに対する法人税額が一四四万三、八〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって同事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額九五八万六、二〇〇円(別紙脱税額計算書(自昭和五一年一月一日至昭和五一年一二月三一日)参照)をほ脱し

第二、 昭和五二年一月一日から同年一二月三一日までの事業年度における被告人会社の実際の所得金額が二、六四九万七、九〇八円(別紙修正貸借対照表(二)参照)でこれに対する法人税額は八八五万四、一〇〇円であるにもかかわらず、昭和五三年二月二八日前記山形税務署において、同署長に対し、所得金額が二四九万八、七〇一円でこれに対する法人税額が二万〇、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって同事業年度の正規の法人税額と右申告税額との差額八八三万三、六〇〇円(別紙脱税額計算書(自昭和五二年一月一日至昭和五二年一二月三一日)参照)をほ脱し

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一、被告人の検察官に対する供述調書二通

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書一七通

一、被告人作成の上申書一一通

一、鈴木金司、鈴木美知子、五十嵐幸子(三通)、五十嵐ちよ(二通)、原裕子(四通)、高梨良子(四通)、相田静子、白田信子(五通)、吉村信子(二通)、笹原紘二(二通)、枝松信雄(二通)、西村恒三(三通)、金谷秀一、四釜敬吉、国井誠市、高野啓、矢作好吉、鈴木好一、三宅邦夫、荒木貞夫の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、高梨良子、四釜敬吉、黒田悟(二通)、村山和男、荒井淳一、設楽光一郎(二通)、笹原征一、後藤勉、陶康雄、高橋五郎、高橋幸一、角田祐治、小森谷光義、三宮久生、間瀬保夫、高橋輝夫、庄司悌治、新井田容子作成の各上申書

一、五十嵐幸子、原祐子の検察官に対する各供述調書

一、大蔵事務官作成の証券会社調査書

一、大蔵事務官の銀行調査書

一、国税査察官作成の写真撮影報告書

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書説明資料

一、大蔵事務官作成の「国税の納付状況等調査書」と題する書面

一、山形県東南村山地方事務所長作成の「地方税の納付状況照会に対する回答」と題する書面

一、横川恒雄作成の「地方税の納付状況照会に対する回答」と題する書面四通

一、大蔵事務官作成の社長勘定調査書

一、大蔵事務官作成の簿外売上調査書

一、大蔵事務官作成の簿外たな卸高調査書

一、大蔵事務官作成の預金等調査書

一、大蔵事務官作成の簿外預金等調査書

一、大蔵事務官作成の簿外預金に係る仮払金等調査書

一、大蔵事務官作成の有価証券等調査書

一、大蔵事務官作成の簿外有価証券等調査書

一、被告人会社の登記簿謄本

判示第一の事実につき

一、押収してある法人税確定申告書一冊(昭和五四年押第五五号の一)

一、大蔵事務官作成の修正申告書謄本(昭和五一年一月一日乃至同年一二月三一日の事業年度分のもの)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五一年一月一日至同年一二月三一日)

判示第二の事実につき

一、押収してある法人税確定申告書一冊(同押号の二)

一、大蔵事務官作成の修正申告書謄本(昭和五二年一月一日乃至同年一二月三一日の事業年度分のもの)

一、大蔵事務官作成の脱税額計算書(自昭和五二年一月一日至同年一二月三一日)

(法令の適用)

判示所為中、被告人会社に対する各点は法人税法一五九条一項(七四条一項二号)、一六四条一項に該当するのでその所定刑中罰金刑を選択して処断すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四九条二項により各罪所定の罰金の合算額の範囲内で被告人会社を罰金四〇〇万円に処することとし、被告人に対する各点は法人税法一五九条一項(七四条一項二号)に該当するのでその所定刑中懲役刑を選択して処断すべきところ、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役六月に処することとし、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予することとする。

以上の理由によって、主文のとおり判決する。

(裁判官 泉山禎治)

修正貸借対照表(一)

昭和51年12月31日現在

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

脱税額計算書

自 昭和51年1月1日

至 昭和51年12月31日

〈省略〉

脱税の計算

〈省略〉

修正貸借対照表(二)

昭和52年12月31日現在

〈省略〉

〈省略〉

〈省略〉

脱税額計算書

自 昭和52年1月1日

至 昭和52年12月31日

〈省略〉

脱税の計算

〈省略〉

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